思い出 母 パイン缶の見た未来 実家の玄関の扉を開けると古い段ボール箱がある。中身は非常用品。大したものは入っていない。 備蓄品の缶詰は賞味期限が何年も前に切れている。しかもフルーツばかり何缶もある。そのうち4缶がパイナップルだ。処分するなり、どうにかしないといけない。 缶には母の字で日付が記されている。自分が生きて災害を迎える未来の日を想定しながら... 2020-06-14
思い出 母 正月なんて大キライ 母の正月嫌いは筋金入りだった。 私と妹が実家を出ると、母は年末年始の一切の支度を放棄した。父の仕事でシンガポールに住むようになってからはいよいよ拍車がかかり、好きなように正月を過ごしていたようだ。 もしかすると、辛うじてお雑煮は作っていたのかもしれない。年越し蕎麦を食べていたかどうかは微妙だ。クリスマスには何もしていな... 2019-12-21
思い出 母猫 猫にそんなつもりはないけれど その昔、実家には猫がいた。 私が高校のとき、妹が子猫を拾ってきたのだ。ちょっと毛の長い、雑種のメス。 どうしようもないので一晩泊めたら、ストーブの上に飛び乗って足の裏をやけどしてしまった。運命は決まった。 名前は「ポチ」。母が決めた。とはいえ誰もそう呼ばず、「ぽー!」「ぽっぽちゃん!」「ぽっぽこ!」「ぽ」のつく名前には... 2019-06-18