父の日常 父 ずるいジイさん あら、こんな人だったっけ? 元日生まれの父はこのたび82歳になる。昔の人が子どもが生まれた日をずらすことはたまにあることだったようだが、父の場合はどうも本当に正月に生まれたようだ。 前にも書いたように、母は正月がそれはそれはキライで、私が家を出た頃にはおせちも食べなくなっていた。だから、父も正月には執着がない、そう思っ... 2021-12-25
父の日常 父 ひそやかな「上書き」 母の死後、私がひっそりと進めていたことがある。父が気が付かないくらい小さなところから、実家に残された母の気配を「上書き」していたのだ。 この家の思い出に父の心が押しつぶされてしまわないように。まるで秘密の花園のように、こっそりと、濃密すぎる気配を薄めていった。 最後の夏、母が思うように食事を取れなくなった頃に口にしてい... 2020-06-28
父の日常 雑感新型コロナ いろいろ 2020年5月|夕暮れハイボール酒場 はじめました また少し間が空いてしまった。世の中は騒々しく、窮屈な日々が続くけれど、私はそれなりに元気に過ごしている。 実家にやってきた! 今、私は実家で父と過ごしている。神奈川県の西部、丹沢の麓の静かな街に実家はある。 普段は都内の自宅と実家の間を行き来している。ところが、緊急事態宣言の発令で県境を越えるような遠距離の移動が難しく... 2020-05-12
父の日常 植物へなちょこベランダー さよなら、ミモザ。 父が枯れたミモザに大きなやかんで水をやり続けている。 わずかに残った葉は全て茶色に変わってしまった。幹の内側まで乾き切ってしまったのだろう。 実家の「北のベランダ」には大きな鉢植えのミモザがある。背の高さほどの大きさで、マンションで育てるにはぎりぎりのサイズではないだろうか。花が好きだった母が世話をしていた。 夏の暑い... 2019-07-26
父の日常 父高齢者 さみしさはどこへいくのか 最近、父のことをずっと考えていて、なかなか答えが出ないでいることがある。 それは「さみしさはどこからやってきて、どこにいくのか」ということだ。 今、私は週に2~3日、泊まり込みで実家に行き、父に食事を作っている。幸い父にはまだ介護の必要はない。何をするでもなく、ただ一緒に過ごしてごはんを食べる。 始まりは母の入院だった... 2019-06-30
父の日常 父 父、厨房へ入る 料理は、唯一父が苦戦している家事だ。 母よりの猛特訓を受けた父。野菜炒めやスープなど、いくつか教わっていたはずなのだが…。「オレには無理だなぁ」とあっさりあきらめてしまった。 父のために買ったシニア向けの料理本は真新しいままだ。 イメージ通りに作れなかったり、おいしくなかったりしたのだろう。私が毎週やってくることも父の... 2019-06-17
父の日常 父 父、家事と格闘す 父の家事能力はゼロに近かった。一人暮らしをしたことがなかったし、家事のほぼ全てを母が担ってきたからだ。 母が猛特訓してくれたおかげで、父はなんとか生活できている。父が秩序を愛し、まめに動くことが苦にならない性格なのも幸いした。 食事作りは当面は免除しよう。ゆくゆくは、簡単なものでいいから自分で作れるようになってもらいた... 2019-06-17
父の日常 父 小さな晩ごはん 父の日課は母にお供えをすること。小さなお皿に食事を乗せて母の写真の前に置く。 無宗教で母を送ったので、実家には仏壇がない。代わりに、母の写真を乗せるスペースを父が手作りした。家にあったガラスブロックに板を乗せ、母自作のキルティングを敷いた簡素なもの。妙に家の雰囲気と合ってしまい、そのまま使われている。 端材の細長い板で... 2019-06-13
健康 父 伝えたいことがある【手の震え/本態性振戦】 父は字を書くことができない。正確に言うと、ペンを持った手が震えて字を書くことができないのだ。 「本態性振戦」という、パーキンソン病のようなはっきりとした原因がないのに震えが起こる病気だ。 本態性振戦はふるえのみが症状の病気です。逆にいうと、ふるえ以外の症状はみられないのが特徴です。40歳以上では4%、65歳以上では5~... 2019-06-03
父の日常 父 父は南を目指す あの頃は、沼のように静かで深い悲しみが、部屋を満たしていた。 几帳面で秩序を愛する父。一人で暮らすようになっても規則正しい生活が続いている。 決まった時間に起き、日中はPCで作業をしたり、ベッドに横になってテレビを見たり。決まった時間に買い物に行き、大相撲を見ながらお弁当をあてに晩酌。一日の終わりには写真の母と会話し、... 2019-05-23