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徳利とお猪口

父と会うのは3年ぶりだった。

最悪のニュースを聞いた日の翌日、駅で父と待ち合わせをした。
改札から出てきた父は、記憶よりもずっと小さなおじいさんになっていた。

実家通いもそろそろ3年になる。
進学で家を出てから、こんなに父と話したことはなかった。

父は来年80歳。

時の経過とともに父にもさまざまな変化が起こっている。
父の言うこと、することの一つ一つが新鮮で、ついつい誰かに言わずにいられなくて。
ないしょ話のようにこっそり父のことを書いている。

久しぶりに会った父は「こんな人だったっけ?」と驚くほどのさみしがりやになっていた。
実家のドアを開けると、雪山で遭難したような顔をして迎えてくれる。
私が帰る時には小窓から手を振ってずっと見送っている。

大事なことを決める時、例えば大きな買い物や、保険の手続きについては、必ず私の意見を聞く。
成人として尊重されているのを感じるとともに、今や父は「守るべき存在」であるということに気付かされる。

私が小さい頃、どこまでも優しくて、母に内緒でガムを食べさせてくれた父。
私が中年となった今は、何をしても手放しで褒め称えてくれる。
母に向かっていた分の愛が未消化のまま、この部屋の中で渦巻いている。

ブログやTwitterが、いずれ父の目に触れる日が来るかもしれない。
いつもコミカルに表現してしまうけれど、心からの愛と尊敬をもって書いているから、どうか許して。

控えめに言って、優しくて、フェアで、男らしい、自慢の父。

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