おもりが揺れると幸せがやってくる【hokuaの圧力鍋】〔1/2〕

圧力鍋との付き合いは3年目になる。
うちの子は「地味だけど頼れるいい女」だ。


生前、母がキッチンで父に料理を教えながら、圧力鍋をチラッと見て
「これは…あなたには無理ね」と言った。

母が他界してから少し経ったころ、ふと思いつきで圧力鍋を使ってみようという気になった。

手元にはレトロな取扱説明書がある。
コープ(CO-OP)のもので、購入してから25年は経っているようだ。

蓋の内側のパッキングが変色している。念のため交換しておこう。

圧力鍋の取扱説明書

コープの店舗でパーツの取り寄せについて相談すると、製造元の北陸アルミニウム(ホクア)に電話をしてくれた。

ロット番号の刻印

鍋の底のロット番号を伝えると、対応するパーツがあるとのこと。
さすがホクアさん!

対応された方はとても親切で、鍋の使い方まで丁寧に教えてくれた。
長く使える良い製品を作っていることへの誇りを感じた。

圧力鍋のパッキング

郵送で届いたパーツを装着して、いざ試運転。

しかし、私は圧力鍋を使ったことがなかったのだ。

最初はとにかく怖かった。
爆発させて鍋の中身が天井まで噴き出した人がいたっけ。

リブロン圧力鍋
音が怖くてこの距離から見守っていた。

鍋を火にかけると、離れた場所から様子を窺っていた。
蒸気の音がしただけで、恐怖のあまりおもりが揺れる前に止めてしまった。

それでも何度か使っていくうちに度胸がついてきた。


無骨なルックスのうちの鍋。
メイドインジャパン。
厚みのあるアルミキャストのボディー。
なんという信頼感よ。

リブロン圧力鍋
四つ葉のクローバーのレリーフがラブリー!

全てのパーツを指さし確認、バチッと蓋を閉め、コンロの中央に注意深く置き、点火!

おもりが揺れると父が覗きにやってくる。
そう、これからおいしいものができるのだ。

いわしの梅煮
いわしの生姜煮
ぶり大根
大根と牛すじの煮込み
大根と手羽先のスープ煮
牛すね肉のシチュー
大根と卵と角煮
とうもろこし
さつまいも

いわしのしょうが煮
牛すじと大根
煮込み
ぶり大根
豚の角煮
さつまいも
付属の蒸し皿で蒸し料理もできる。

大根ばかりなのは、父がやわらかく煮えた大根が好きだからだ。

大根は圧力鍋で下茹でするのがおいしいと思う。
繊維がほどよくほぐれて、中まで味がしみ込んだ大根のおいしさときたら!

そして、肉の煮込み料理とくれば圧力鍋の出番だ。

調理時間が短いだけではない。
圧力鍋で料理すると、熱の伝わり具合が普通の鍋と違うように感じる。

牛すじや手羽元のほろほろ具合は圧力鍋ならでは。
特性を理解して上手に使えば、レパートリーが広がりそうだ。

「何か煮るものはねーがー!」

実家で料理する時は時間に余裕があるので、大好きな煮込み料理をよく作る。
加圧が楽しくて、何を煮てやろうかと毎週わくわくしている。


課題は加圧時間だ。

圧力鍋の加圧時間はメーカーによって異なる。
インターネットや本で見つけたレシピに書かれている時間は参考程度の情報だ。
これまでの経験より推測しながら時間を決めていく。

圧力鍋の調理にはいろいろな落とし穴がある。

「大根から出る水分が多すぎて煮汁が薄くなる」
「玉ねぎに火を通しすぎてぐだぐだ」
「じゃがいもが消失」
「いわしが骨だらけ」「いわしの尻尾が消失」
「牛すじが硬い」「牛すじが溶ける」
「牛スネが嘘みたいに縮む」
「角煮がコンビーフのように硬い」

毎回何か事件が起こる。それでも試行錯誤して経験を積むことが楽しい。

料理がおいしくできると、父が写真の母に報告する。

「圧力鍋、使いこなしてますよー!」


〔関連記事〕後編はこちら

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