もくじ
目が覚めるとお菓子に手が…
夜中や朝方に中途覚醒することがよくある。
そんな目が覚めたときにお菓子を食べる癖がついてしまった。
3年前には既にこの習慣が始まっていた。
最初は口さみしくてときどきつまみ食いをする程度だったが、次第に頻度と食べる量が増えていった。
菓子パン、スナック、ドライフルーツ、クッキー、チョコレート、かりんとう。
すぐに口にできるものなら何でも。袋が空になるまで食べることもあった。
布団に横になったままお菓子を口に入れ、そのまま寝てしまったことも。
ストレスが原因で食べているのは自分でもわかっていた。
空腹を感じていないのに必要以上に食べている自覚もあった。
この3年の間には母の他界や父のための実家通いがあった。
不安や疲れ、行動が制限されることのストレスで、余計に間食が止まらなくなったのだと思う。
当然の結果として、どこまでも体重は増えていった。
虫歯にもなるし、やめなくていけないとずっと思っていたけれど、どうしてもコントロールすることができなかった。
夜間摂食症候群(NES)という病気
そんな私の状態に似た病気がある。
病院で診察を受けていないので該当するかはわからないが、興味深く参考になる。
夜間摂食症候群(night-eating syndrome; NES)、または夜食症候群と呼ばれる摂食障害だ。
夜間摂食症候群(NES)では、不眠、夜間のむちゃ食いと朝の食欲不振が見られます。夕食から入眠前までの間や中途覚醒時に強い摂食欲求があり、これを我慢すると眠れなくなるため夜間の摂食行動が習慣化します。患者は夜間の食事中には完全に覚醒しており、翌日も記憶があります。一般に、食事内容は普通です。
赤城高原ホスピタル「睡眠関連摂食障害」
NESには次のような特徴がある。
- 夕食後から夜中に1日の総カロリーの25~50%を食べてしまう
- 1週間に2回くらい、一度寝てもまた起き出して食べてしまうことがある
- 男性が多い
- 初発年齢は30代や40代、中高年にかけて多い
日本での頻度は12%という統計もあり、摂食障害という意識がないことも多い。
「飲んだあとのラーメン」や「寝る前のお菓子」をついうっかり食べてしまうことはよくある話ではないだろうか。頻度と量が増え、不眠や肥満が発生することで問題となってくる。
治療には抗うつ薬を使った薬物療法や、認知行動療法が用いられる。
ストレスによるホルモンの異常が背景
背景にはストレスによる食欲に関連するホルモンの異常がある。
食欲を抑制するレプチンや増進させるグレリン、睡眠に関与するメラトニンやストレスに対抗するコルチゾールといったホルモンの働きが低下し、分泌のリズムが乱れてしまう。
レプチンは食欲抑制に、グレリンは食欲促進に働くホルモンです。NESでは、本来は夜間に上昇するレプチンが抑制されて、食欲が出やすい状況になっています。グレリンは、本来ならば朝食前、空腹のときが一番高いのですけれども、夜食のせいで低くなっており、朝の食欲低下に関連します。
鈴木眞理「night-eating syndrome」,ドクターサロン58巻6月号(5. 2014)キョーリン製薬HPより
睡眠を調節するメラトニンは夜間に上がりますが、これが抑制されています。さらに朝起きる直前に高くなるコルチゾールは、夜低くて朝高いという日内変動をしていますが、これがずれているということがわかっています。
似たような症状をもつ摂食障害に、睡眠関連摂食障害(sleep-related eating disorder; SRED)というがある。
SREDは夜間睡眠中もしくは半覚醒状態で、無意識に食物の摂取や飲水を繰り返すのに対し、NESは完全に目覚めた状態で、強い摂食欲求に基づいて食事し、翌日にも記憶が残っているという点が異なる。
私の場合、夜中に目が覚めると「どうしても食べたい」というはっきりした意識の下で好きなものを選んで食べ、朝になってもそのことを覚えているので、NESに近い状態なのだろう。
3年間苦しんだこの症状だが、不思議なことに突然収まり、今は食べることがなくなった。
ブログを始めて新たな楽しみができるなど、ストレスを上手に解消できるようになったのかもしれない。
私の場合はNESであるかどうかはわからなかったが、もし同じような症状に苦しんでいる人がいたら、一度医療機関で相談することをおすすめしたい。
〔2019/11/14 追記〕
その後半年の間、間食が減った状態が続いている。
私なりに考えた理由について記事をまとめた。
〔2020/3/16 追記〕
強いストレスをきっかけに間食が復活。
そのようなときにいかに食欲と付き合うか。私の対処法について。
参考にしたサイト
鈴木眞理「night-eating syndrome」、ドクターサロン58巻6月号(5. 2014)キョーリン製薬HPより
井上雄一、駒田陽子「睡眠関連食行動障害」、精神経誌112巻9号
時事メディカル「止まらない夜のドカ食い 『夜食症候群』という摂食障害」
おまけ:睡眠不足は「脳の勘違い」のもと
睡眠不足になると、消耗した脳が「エネルギー不足だ」と判断し、エネルギーを補給しようとして、満腹ホルモンを減らし食欲刺激ホルモンを増やすという、NESに似たことが起こる。
過食の一因には睡眠不足があるのかもしれない。
夜は早く寝よう。