もくじ
夏こそ体重増加シーズン?
「夏バテ」をしなくなって久しい。
昔は「暑さで食欲がなくなってそうめんしか食べられない」という人もいたように思うが、近年はクーラーの技術が良くなり快適に過ごせるようになったためか、それほど食欲が落ちない気がする。皆さんはいかがだろうか。
私はここ数年、夏になるとむしろ体重が増えてしまう。40代に入ってから特にその傾向が強い。原因ははっきりしている。運動不足だ。
まず、6月中旬に梅雨が始まり、ウォーキングやランニングに出られない日が続く。
そして、梅雨が明けると猛暑日が続く。昔より真夏の気温が高くなっているようだ。夜間や早朝でも熱気が残ったままで、熱中症の危険を感じる。
そして9月には台風が襲来し、再び雨の多いシーズンがやってくる。外で運動がしにくい時期が3か月近く続く。
秋の気持ちのいい季節はあっという間。みるみる寒くなり、ウォーキングに出るのが億劫な長い冬がやってくる。
それに加えて新型コロナウイルスの影響がある。運動量確保とダイエットの「奥の手」、プールやジムに行くのがためらわれる状況だ。
皆さんも、リモートワークやテレワークなど、通勤の頻度が減り、家の中で過ごす時間が増えたことで運動量が減っていないだろうか。いわゆる「コロナ太り」だ。座って作業をしているとお腹周りの脂肪がじゃまに感じる、そんな人も多いのではないだろうか。
梅雨明けがまもなくやってくる。冷たいビールやレモンサワーがおいしい。あっという間にカロリーと糖質を飲み干してしまう、それが夏。
今回は、私が昨年から始めた「ステップ運動」、すなわち「踏み台昇降」のツールと方法、効果についてご紹介する。
懐かしの「踏み台昇降」は今や話題のエクササイズに
外に出られないシーズンの運動不足に悩む私がおすすめするのは「踏み台昇降」だ。
昔、学校のスポーツテストで体験した人も多いのではないだろうか。高さ10cm~30cmほどの踏み台を一定のテンポで前後に昇り降りする運動。単調で辛いだけのイメージを持つ人も多いだろう。
今は「ステップ運動」「ステップエクササイズ」とも呼ばれ、スポーツジムのスタジオプログラムにも取り入れられている。
「地味で辛くて退屈な運動」
ステップ運動について知ると、そんなイメージがきっと変わるだろう。
ステップ運動のメリット
ステップ運動にはメリットがたくさんある。この記事を読み終わる頃には踏み台が欲しくなるかもしれない。
とにかく簡単、すぐに始められる
基本は踏み台を昇降するだけで、初心者でもすぐに始められる。
いつでも始められて、いつでもやめられる。在宅仕事や家事、育児の合間のすき間時間で細かくカロリーを消費できる、ハードルの低い運動だ。
エアロビ感覚で楽しめる
しかし、ステップ運動の本当の魅力は「楽しさ」にある。
無料で視聴できるエクササイズの動画が世界中で公開されている。エアロビクスのようなステップや振付。音楽に合わせてインストラクターの動きに合わせると、まるでスポーツジムのスタジオプログラムに参加しているようだ。
運動強度を調整できる
踏み台の高さとステップの速さ、運動の時間で強度を調整することができる。体力に合わせて少しずつ負荷を上げていけばいい。
高齢者にも推奨されている運動。スポーツの習慣がない人、体力に自信のない人にこそおすすめする。
脂肪が燃える有酸素運動
ステップ運動は有酸素運動であり、体脂肪の減少のほか、冠動脈疾患や高血圧の改善、心肺機能の向上が期待できる。
有酸素運動とは、軽~中程度の負荷を継続的にかける運動のことです。酸素を使って筋肉を動かすエネルギーである脂肪を燃焼させることから有酸素運動といいます。脂肪を消費するため、体脂肪の減少や高血圧などに効果が期待できます。(中略)
有酸素運動では主に体脂肪を燃料とするので、血中のLDLコレステロール・中性脂肪の減少が期待できます。LDLコレステロールは、増加しすぎると動脈硬化の原因となるコレステロールで、悪玉コレステロールともいわれます。中性脂肪は脂質の一種で、取りすぎると皮下脂肪(お腹まわりの肉)の主成分として蓄積されます。このことから有酸素運動は、冠動脈疾患、高血圧の改善にも効果があると考えられます。また、運動そのものの効果として心肺機能の向上なども期待できます。
グリコ「有酸素運動と無酸素運動の違いを知っていますか?」
以前は「有酸素運動は20分以上続けないと脂肪は燃えない」と言われていたが、短い時間の有酸素運動でも効果があることがわかっており、すき間時間にこまめに運動することでも上記の効果が期待できる。
参考タニタ「健康的に体重を減らすには」筋肉がついて体が引き締まる
階段の上り下りと同様に、ステップ運動でもおしりや太ももなどの下半身の大きな筋肉を使うので、筋力トレーニングの効果があり、基礎代謝アップにもつながる。
消費カロリーはウォーキングの倍近く
大きなメリットの一つ。
日常生活に運動を取り入れるうえで悩ましいのが時間の問題だ。例えば1日10,000歩歩こうとすると100分近く時間が取られてしまう。
ステップ運動はウォーキングに比べて消費カロリーが高いので、短い時間で運動量を確保できる。詳しくは後述する。
自宅で手軽にできる
「自宅で手軽にできる有酸素運動」というのがステップ運動の最大のメリットではないだろうか。
まず、着替えなくていい。動きやすいルームウェアならそのまま運動してもいい。
室内なので面倒な日焼け対策やUVケアも不要。運動している姿を人に見られずに済むので、こっそりダイエットができる。もちろんメイクの必要はない。汗をかいてもすっぴんならタオルで拭ける。
そして息苦しいマスクが不要なのが一番ありがたい。
また、特に女性の場合、防犯上の不安がなく、夜間や早朝にも運動できるというメリットもある。
天候に左右されない
雨や強風の日、真夏や真冬。外に出る機会の減るシーズンにこそ踏み台は活躍する。
猛暑日が続くこれからのシーズンは熱中症が心配だ。冷房の効いた部屋の中で運動できるので、無理なくカロリーを消費できる。ただし、大量の汗をかくのでこまめな水分補給をお忘れなく。
道具がシンプル、コストパフォーマンスが高い
数千円の踏み台と、防音のためのマットを用意するだけ。
ランニングコストもかからない。
特別なウェアは必要ない。強いて言えば動きやすく、汗が乾きやすい服装がいいだろう。私は半袖のランニング用Tシャツやポリエステルのハーフパンツ、滑りにくいソックスを着用することが多い。
場所を取らないのもメリットの1つ。ランニングマシンのような大掛かりな設置スペースは必要なく、「半畳分」のスペースがあればいい。仕事をするデスクの前に踏み台を置き、そのままPCで動画を見ながら運動することも可能だ。
もちろん、電源不要、ランニングコストはゼロ。
ステップ運動のデメリット
汗だくになる
ステップ運動をすると驚くくらい汗をかく。夏場は10分の運動でも着替えが必要になるかもしれない。一日のどのタイミングに運動を取り入れるか、工夫が必要だろう。私の場合、食事の直後を避けて、入浴前に軽く運動することが多い。
音の問題
マンションやアパートでは階下へ音が響く場合もある。それほど大きな音は出ないが、念のためにマットを敷いたり、足の着き方を工夫したりするほか、近所迷惑とならないように、運動する時間帯を検討しよう。
気になる消費カロリーは?
ステップ運動の消費カロリーは、体重、台の高さ、ステップの速さによって決まる。体重50kgの人が、高さ20cm、120bpmの速さで運動した場合と、他の運動との比較は以下のとおり。
運動の種類 | 条件 | 運動強度 | 消費カロリー |
---|---|---|---|
ウォーキング | 時速4.0km | 3METs | 26kcal |
ステップ運動 | 高さ20cm /120bpm | 6.8METs | 51kcal |
スロージョギング | 時速3~6km | 4~6.5METs程度 | 50kcal |
ランニング | 時速8.3km | 9METs | 79kcal |
踏み台の選び方
自作の台や代用品はおすすめしない。
体重をかけてステップを繰り返し、台の上で手足を大きく動かすこともある。足元がしっかりと安定しているステップ運動専用の台が安全だ。
100円ショップにも簡易的な商品があるが、きちんとしたステップ台を買っても数千円。Amazonなどの通販サイトで購入することができる。あっという間に元が取れてしまうので、安全で運動しやすい専用のステップ台を購入してほしい。
選び方のポイント
滑り止めがついている
ほとんどの製品には滑り止めのエンボスがついているが、念のため購入前に確認を。
台が広い
後にご紹介するステップエクササイズでは台の広さが必須。台の隅を使ったり、台の周りを一周したりする動きもあり、踏み台が広いことを想定している。横幅に余裕があるものをおすすめする。単純に上下のステップをするだけならそれほど広さは必要ない。
高さが調整できる
高さを変えることで運動の負荷を調整する。体力がついてくると物足らなくなってきて、徐々に高さを上げ始める。
最低でも20cmは欲しい。一部の台はそれに満たない高さなので、購入時にはご注意を。
その他
「使用者体重制限:100kg」など、耐荷重が設定されている場合がある。
私が使用している踏み台
私は用途に応じて2台の踏み台を使用している。
「ステップウェル2」はコナミスポーツクラブの企画・開発した商品。台が広く、ぐらつきのないしっかりした作り。振付のあるプログラムにはこちらをおすすめする。ステップのための音楽CD付き(どちらかというと高齢者向け)。
価格が手ごろで2台目に買った踏み台は廃番になったようだ。類似の品はこちら。幅はあまり広くないので、狭いスペースでステップをする場合に向いている。
あわせて用意したいもの
防音用のマット
マットは階下に音が響くのを防ぎ、長時間のステップによる足への衝撃を和らげる。一般に販売されているウレタンマットなどで良いが、なるべく厚みのあるものをおすすめする。床のキズ対策にもマットを敷いた方が安心だ。
厚手のマットが望ましい。アイリスオーヤマのジョイントマットを選んだ決め手は1.8mmの厚み。普段は9枚のうち6枚を使用している。台の周りを歩くエクササイズの場合は、奥側にもシートを敷いて9枚使っている。
運動するときの注意
軽いストレッチなどの準備運動を行う。
台の上で滑らないように注意する。私は滑りにくいスポーツソックスを履いて運動している。
また、下記の人は医師へ相談のうえ、慎重に運動を行う必要がある。
- 妊娠中や生理中、出産直後の人
- 持病がある等、医師から運動制限の指示を受けている人
- 膝や腰などに痛みのある人
めまい、どうき、吐き気、痛み等、身体に異常を感じた場合はすぐに使用を中止すること。
汗を大量にかくので脱水に注意。水分補給をしっかり行おう。また、他のスポーツと同様に、食後や飲酒後は運動を控えてほしい。
どのくらい運動するか
私はウォーキングや軽い筋トレと組み合わせて日常の運動に取り入れている。
後に紹介する動画を見ながら20分程度のステップ運動をすることが多い。階下への音を配慮して、午前中や午後の早い時間に行っている。
10分を越えると汗が噴き出す。慣れてきて体力がついてくると、40分を越えるプログラムでも続けられたが、20分程度が飽きずに楽しく続けられる長さだ。
一日のどのタイミングで運動を取り入れるかが継続のポイントになるだろう。テレビを見ながらステップをする人も多い。着替えが必要なくらい汗をかくことがあるので、生活のスタイルによってはシャワーの前などがいいかもしれない。
体はどのように変わったか
消費カロリー以上に「体が変わった」という実感がある。
ステップ運動によって急激に痩せることはなかった。そして痩せたというより「引き締まった」。
特におしりの形が変わった。ウォーキングとは違う筋肉が付いてヒップアップしたのを感じる。
昨年はウォーキングやスイミングと組み合わせてステップ運動をしていたが、徐々に体力がついてきて40分を越える長い時間のエクササイズもできるようになった。
膝の痛みとステップ運動
私は両膝とも変形性膝関節症の初期段階と診断されており、ランニングや縄跳びは避けている。昨年はスロージョギングに夢中になってしまい、膝を傷めてしまった。
その後、少し良くなった頃にステップ運動に再度チャレンジしたが、斜めにステップを踏む動きで膝に違和感を感じて中断した。その後、一年前より6kg減量し、日常生活で膝の痛みを感じなくなったので再びステップ運動を始めている。
膝の悪い人は様子を見ながら慎重に運動をしよう。膝の状態が悪いときには中止した方がいい。低い高さで、短時間、ゆっくりステップをするところから徐々に慣らしていくことをおすすめする。
なお、膝や腰への負担を和らげることを目的とした補助用の手すりも販売されている。
参考コナミスポーツクラブ「ステップ運動用補助手すり」私のおすすめ動画
私がステップ運動を飽きずに続けられているのは動画のおかげだ。動画があれば踏み台昇降はエクササイズ。決して単調な運動ではない。
アメリカで有名なステップエクササイズのインストラクター、Jenny Ford先生の動画を見ながら運動している。
音楽に合わせてエアロビクスのような動きをする。音声は英語のみだが難しい動きはなく、先生の動きに合わせれば初めてでも簡単についていくことができる。
動画を見ると踏み台昇降のイメージが変わるだろう。まるでスタジオプログラムに参加しているような気分になる。
YouTubeで何十種類も無料動画が配信されている。
参考Jenny Ford - YouTube話題の「HIIT(高強度インターバルトレーニング)」や、ダンベルを使ったもの、各地を旅行しながら景色のいい場所でステップするものなど、バリエーションが多く、飽きずに続けられている。
まずはビギナー向けの動画をおすすめする(17分13秒)。思いがけない運動量に驚くことだろう。ラスト1分半は運動後のストレッチ。
慣れてきたらビギナー向けのこちらを(22分27秒)。代表的なステップを覚えることができる。
他にも「踏み台昇降」「ステップエクササイズ」「Step Workout」「Step Aerobics」などで検索するといろいろな動画がヒットする。
踏み台のある生活でスタイリッシュな体に!
間もなく50代を迎える。残念ながら「中年太り」を実感するようになった。少し気を抜くとすぐに体重が増えてボディーラインが緩んでしまう。
年齢を重ねるとともに徐々に気力と体力も落ちてきているように思う。若い頃のように本格的にジムに行ったりすることに億劫さを感じてしまう。
これからの毎日をアクティブに過ごすためには、ちょっとした時間を有効に使ってこつこつ運動を積み上げる習慣を付けていくことが必要だろう。
まとまった運動時間が取りにくい真夏や真冬こそ、快適な室内でステップエクササイズ。やり方は簡単、手軽でお金もかからず、費用対効果抜群。「家にいる生活」の新しい運動方法として、ステップ運動に是非チャレンジを!