父の日常の記事一覧
母の死後、私がひっそりと進めていたことがある。父が気が付かないくらい小さなところから、実家に残された母の気配を「上書き」していたのだ。 この家の思い出に父の心が押しつぶされてしまわないように。まるで秘密の花園のように、こっそりと、濃密すぎる気配を薄めていった。 最後の夏、母が思うように食事を取れなくなった頃に口にしてい...
また少し間が空いてしまった。世の中は騒々しく、窮屈な日々が続くけれど、私はそれなりに元気に過ごしている。 実家にやってきた! 今、私は実家で父と過ごしている。神奈川県の西部、丹沢の麓の静かな街に実家はある。 普段は都内の自宅と実家の間を行き来している。ところが、緊急事態宣言の発令で県境を越えるような遠距離の移動が難しく...
父が枯れたミモザに大きなやかんで水をやり続けている。 わずかに残った葉は全て茶色に変わってしまった。幹の内側まで乾き切ってしまったのだろう。 実家の「北のベランダ」には大きな鉢植えのミモザがある。背の高さほどの大きさで、マンションで育てるにはぎりぎりのサイズではないだろうか。花が好きだった母が世話をしていた。 夏の暑い...
最近、父のことをずっと考えていて、なかなか答えが出ないでいることがある。 それは「さみしさはどこからやってきて、どこにいくのか」ということだ。 今、私は週に2~3日、泊まり込みで実家に行き、父に食事を作っている。幸い父にはまだ介護の必要はない。何をするでもなく、ただ一緒に過ごしてごはんを食べる。 始まりは母の入院だった...
父は字を書くことができない。正確に言うと、ペンを持った手が震えて字を書くことができないのだ。 「本態性振戦」という、パーキンソン病のようなはっきりとした原因がないのに震えが起こる病気だ。 本態性振戦はふるえのみが症状の病気です。逆にいうと、ふるえ以外の症状はみられないのが特徴です。40歳以上では4%、65歳以上では5~...
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