直売所にたけのこが積まれると心が躍る。
春の孟宗竹(モウソウチク)が終わり、空気に梅雨の匂いを感じる頃になると入荷されるのが真竹(マダケ)と淡竹(ハチク)。私のたけのこシーズンは続く。
棚の上に商品を並べながら生産者のおじさんが「いちばんおいしいのはこれ」と勧めたのは淡竹。
食べてみたらすっかり虜になってしまった。
淡竹は出回る量が少なく、スーパーなどではまず見ることはないのではないだろうか。
機会があったら是非食べてみてほしい。
安くて、下ごしらえが楽で、独特の食感がクセになる。
もしかすると、たけのこのイメージが変わるかもしれない。
もくじ
市場に出回ることが少ないたけのこ
日本の竹の約9割は3種類の竹(日本三大有用竹)によって占められている。
- 孟宗竹(モウソウチク):20%
- 真竹(マダケ):60%
- 淡竹(ハチク):10%
食用の「たけのこ」と聞いて一般的にイメージされるのは孟宗竹だ。
淡竹は中国原産の大型の竹で、耐寒性があり、北海道南部以南の比較的寒い地域にも生育している。
竹材は細く割りやすく、茶筅(せん)に使用される。
地域によって異なるが、淡竹のたけのこが収穫される時期は孟宗竹が終わったあとの5~6月。
鮮度が落ちるスピードが速いのでスーパーなどにはなかなか出回らない。
新鮮な淡竹に出会ったらそれはラッキー。迷わず連れて帰ろう。
えぐみが少なく、下ごしらえかんたん
淡竹の特徴と下ごしらえについては、下記のサイトにわかりやすく書かれている。
コストパフォーマンス高し!
淡竹が人気のワケ。それは、タケノコ特有の歯触りの良い食感はもちろんのこと、孟宗竹に感じることのある"えぐみ(アク)"が、ほとんど感じられないこと。販売されるのは主に、朝採りの新鮮、採りたて野菜などが並ぶ直売所です。買って直ぐならばほとんどえぐみを感じないために、水で茹でるだけと調理も簡単。またものによっては、裾から覗く青竹を思わせる鮮やかな色味が硬そうなイメージを連想させますが、実際には皮を剥いたら捨てる部分はほとんどないほどに、上から下まで丸々一本食べられるのです。食べる部分が多いのも淡竹の嬉しいところ(ただし、皮をむくと半分ほどの量になってしまいます)。そのうえお値段も手頃ときています。
えぐみはほとんどないとはいえ、「すぐ味が落ちる」といわれる淡竹。美味しく食べるためには一分一秒を争って下処理を行った方がいいのですが、ほんの数時間前に収穫したものであれば、糠などを使ったアク抜きも必要なく、茹でるだけの手間要らず。タケノコご飯にタケノコの味噌汁、そして煮物に天ぷらと、1本の淡竹で淡竹のフルコースが完成してしまう程にいろいろな料理に使いまわしが効きます。なかでも採ったばかりのものを皮付きのまま焼いて食べるのが、自然の醍醐味を味わえる、一番のオススメだとか。
JA長野県「北信濃発 初夏の味『淡いタケノコ』!?」
淡竹のいちばんの特徴は「えぐみの少なさ」。
生産者さんは「新鮮なら生でも食べられるよ」と言う。
あく抜きをする場合も、ぬかや唐辛子を入れずに水だけでゆでればよく、拍子抜けするくらい手間がかからない。
あっという間に下ゆで完了!
今回淡竹を購入したのは午前中。「朝どり」の表示があり、触るとまだしっとり濡れている。
「湯をわかしてから掘りに行け」と言われるたけのこ。淡竹は特に鮮度が落ちやすい。
一刻も早く帰って下茹でしなくては!
直売所の淡竹はいろいろなサイズがあったが、私の買ったものは長さ40cm、直径7cmほどあり、棚にあった中では大きい方だ。
私はたけのこのえぐみが苦手なので、あく抜きをしている。
淡竹のあく抜きでは皮は剥いて茹でる。
孟宗竹より捨てる部分が少なくお得に感じる。
ここ数年は、たけのこのあく抜きにシャトルシェフを使っている。
シャトルシェフは普段から活躍していてあっという間に元が取れてしまう。
おでんとたけのこのために大きめのサイズを買ったが、これは大正解。
前回の記録を参考に、自己流で下記のように下ゆでした。
- 調理鍋にたけのこと水を入れ、たけのこが浮き上がらないようにキッチンペーパーや清潔なふきんをかぶせ(それでも浮くなら落しぶたも乗せて)、フタをしないで中火にかける。
- 沸とうしたら保温容器に入れ、60分保温する。
- 保温容器から調理鍋を取り出し、たけのこをゆで汁に入れたまま120分おいて冷ます。
ゆで時間については下記もご参照いただきたい。
参考「料理研究家 冨田ただすけの料理と暮らしをつづるブログ」(白ごはん.com)「淡竹いただきました~(淡竹の下ごしらえとあく抜きについてもちょっとだけ紹介)」 参考サーモス「シャトルシェフレシピ 若竹煮」(ページ下部:たけのこのあく抜きの方法)水を入れた容器に入れて冷蔵庫に入れると数日間保存することができる。
味と香りが落ちるので、なるべく早めに食べ切ってしまいたい。
今回の淡竹は3等分し、穂先はそのまま焼きたけのこに、中心部と根元の部分は下ゆですることにした。
第1弾:グリルで一気に!「焼きたけのこ」
まずは、あこがれの焼きたけのこにチャレンジ!
たけのこは皮がついたまま半分に割り、ホイルで包んで魚焼きグリルで焼く。
先日、そら豆のグリル焼きを覚えたので、強火が怖くなくなった。
いくつかのレシピを参考に、下記の時間で焼くことにした。
- 予熱なし
- 強火で20分程度、竹串がすっと入るまで焼く
- アルミホイルの上を開けて、醤油を刷毛で塗り、さらに少し焼いて焼き目をつける
魚焼きグリルは点火から約1分で庫内温度が300℃以上の超高温になる。
今回も強火で一気に20分焼こうと火をつけた。
ところが!
淡竹が小さいこともあり、18分で安全装置が作動してしまい、それ以上焼けなくなった。
ホイルの中を開けてみると既に焼けている感じなので、これで終わりにすることにした。
醤油を薄く塗り、オーブントースターを使い180℃で90秒焼いた。
醤油の焦げるいい香りが部屋中に広がってきた。
焼きたけのこ、無事に完成!
たけのこの可食部の小ささがさみしいが、味と香りは最高だ。
淡竹のしゃきしゃきした食感が楽しい。
下ゆでなしでもえぐみは感じない。
まずは大成功なのではないか。また焼こう!
第2弾:歯ごたえを楽しむ「若竹煮」
昨年作っておいしかったので、今年も若竹煮を作ろう。
淡竹はさっぱりしているのでシンプルに出汁で食べるのもおいしい。
生わかめを最後に入れて、できあがり。
根元の部分を使った。淡竹らしい歯ごたえが良い。
いくらでも食べられそうなほっとする味。
若竹煮にもシャトルシェフを使用した。
参考サーモス「シャトルシェフレシピ 若竹煮」(レシピ下部:たけのこのあく抜きの方法)
第3弾:「焼きたけのこの花椒(ホワジャオ)タレがけ」
たけのこと言えばやっぱり中華料理。
最終回は真ん中の部分を炒めることにした。
にんにくとしょうががざくざく入った花椒入りの酢醤油ダレをかける。
さらに「花椒塩」をつけながら食べたら味が締まってよかった。
いろいろな料理が楽しめるオールマイティーなたけのこ
淡竹を食べるのは今年で3年目。
これまでにいろいろな料理を試してきたが、クセがないのでどんな食べ方でもうまくまとまる。
初夏の楽しみ、淡竹。
なかなか出回らないものなので、見かけたら是非お試しを。
皆さんも味と食感の虜になるかも!?