もくじ
「しないこと」を決めてみよう
こだわりを手放すと楽になる
年々、嫌なことががまんできなくなってきた。最近は気が向かないことをしようとすると体も嫌がる。あるとき、自分が「常にせかせかと追われるように何かをしている」ことに気付いて息苦しさを感じてからは、もう耐えられなくなった。
40代も後半に入って私も図太くなったのか、いよいよ人の目が気にならなくなってきた。これからは自分を縛る「こだわり」を手放し、もっと自由に生きてもいいのかな、と考えている。
「しないことリスト」や「やらないことリスト」を作っている人がいる。おもしろそうだ。私も作ってみよう。
以前、ストレスに対処するための「100の気晴らしリスト」を作ったが、自分に向き合うプロセス自体が楽しく、考えの幅が広がった。今回も何か新しい発見があるのではないか。
もっと自由になるために、あえて「宣言」する
リストを作るためにWebサイトや書籍に目を通したとき、何か違和感があった。それは「しないこと」に見せかけた「努力目標」や「自分のあるべき姿」が混じっていたからだ。前向きに努力することはすばらしい。しかし、私にとってそれらは心と行動を縛るものでもある。
私の作りたい「しないことリスト」は自由になるためのものであり、心を解放するものだ。私にとって心地よく、気持ちいい、しっくりくることを選びたい。その瞬間の気分や感覚を大切にして生きていきたい。
単なる「がまんができない人」に見えるかもしれないが、私にとって「しない」と決めることは、逃げではなく、ネガティブな行動でもなく、むしろ勇気をもって前進するための「宣言」だ。
回避もまたテクニックのうち。他人に頼らず自分でストレスに対処できることは、生きるための知恵の一つではないだろうか。
純粋な「引き算」で身軽になっていく
本当の気持ちに正直に、物理的・精神的な制限をひとつずつ外していくと、徐々に身軽になるだろう。
「しない」とは純粋な「引き算」であり「手放し」なのではないだろうか。そして「しない」ことは「失う」ことではない。自分を消耗させる余計な線を消しゴムで消してまっさらな白い紙に戻し、新しい絵が描けるようにする、そんなイメージだ。
限られたエネルギーを温存して、心が躍ること、心の底からやりたいことを思う存分できるように、心と体のスペースを確保する。
真の意味で自分をいちばん理解し、いたわり、許し、ケアできるのは自分。心の中でならどこまでも自分に甘くてもいいと思っている。
「しなくてもいいこと」もリストアップ
考えるヒントとして、緩やかなルールを3つ決めた。
- 「役に立つかどうか」は考えない
- 「してはいけない」と禁止をしない
- 「すべきではない」と制限をしない
「努力目標」がなるべく混じりこまないように、純粋に「したくないこと」を選んでいく。
(それでも自分を戒めるような項目がいくつも入ってしまったが…)
日常の中で「本当はしたくない」ことは意外と自覚できていないようで、最初はなかなか数が揃わず、メモに書き出して作業する過程で徐々に発見していった。
そして気付いたのは「しないことリスト」には「しなくてもいいこと」を含んでもいいということだ。「本を読まなくていい」は「本を無理して読まない」の言い換えでもある。元気なときにはしてもいいし、疲れたらしなくてもいい。そう考えたら一気に視野が広くなり、私のリストがいっぱいになった!
作り方は簡単。私はスマートフォンのメモに思いついたそのときに書き足していった。集中して紙に書き出すと思いつきやすい人もいるだろう。軽い気持ちでトライしてみよう!
私の「しないことリスト」
生活習慣 (13)
- 目覚ましで起きない
- 起き抜けにすぐ動かない
- 極力予定を入れない
- 体調不良をがまんしない
- 眠気をがまんしない
- 暑さや寒さをがまんしない
- 深酒をしない
- 風呂はさぼってもいい(入って途中で出てもいい)
- 夜ふかしや徹夜をしない
- 寝る1時間前からは作業をしない
- 新聞は全部読まなくてもいい
- ニュースを追わなくてもいい
- 本を読まなくてもいい(途中でやめてもいい)
フリーランスとして在宅で働くようになってうれしいことは「一日のスケジュールを気分で決められる」ことだ。基本的に朝は起きたい時間に起きる。実家にいるときは鳥の声で優しく起こしてくれる目覚まし時計を使っているが、心地よさに負けて二度寝をしてしまう。
眠ければ眠り、雨が降れば家にこもり、しんどくなるまでがんばらない。仕事も家事も、コンディションの良いときに進めた方が断然はかどる。
ライフスタイル (4)
- 通勤しない
- 立ち仕事はしない
- オフィスで働かない
- 一人暮らしをしない
自分への固い誓いであり、私の人生における「鉄の掟」でもある。数年がかりで実現に向けて準備をしている。
お金と買い物 (10)
- チラシやカタログはチェックしなくてもいい
- レビューを研究しなくてもいい
- 店内をくまなくチェックしなくてもいい
- 底値やポイントにこだわらない
- セールで買わなくてもいい
- 無理してまで買わない
- 節約しなくてもいい
- 家計簿はつけない
- 元を取らなくてもいい
- 無料でなくてもいい(有料サービスを使う)
若い頃、何かを買うときにははりきって各社の仕様や価格、レビューを調べ尽くしたものだ。年々買い物に向かう執着が薄れてきて、疲れて何も買わないことも多くなってきた。妥協することになるが、代わりに時間とエネルギーを有効に使っている。ほどほどの買い物で満足して人生を前に進めたい。
お金についてはどちらかというと「締まり屋」だが、必要なものにはきちんとお金をかけて、稼ぐ方向に意識を向けようと思うようになった。
家事 (7)
- 家事は途中でやめてもいい
- 料理は毎食作らなくてもいい
- 料理は手をかけなくてもいい
- 作り置きはしなくてもいい
- 大掃除はしない
- アイロンはかけなくてもいい
- ホームクリーニングはしなくてもいい
「てきぱき家事をこなす生産性の高い女性になりたい」と昔は本気で思っていた。無意識のうちに「家事ができないのは人として(女性としても)能力が劣っている」と考えているようだ。私には向いていない。欲張らず、したいときだけやろう。
運動とダイエット (5)
- 食べたいものをがまんしない
- カロリー計算をしなくてもいい
- 毎日外に出なくてもいい
- 膝に悪いことはしない
- 10,000歩を達成しなくてもいい
実はコロナ太りでまたダイエットをしようと思っているのだが、正面から向き合うと気持ちが負けてしまう。今回も時間をかけてだましだまし取り組む。
(あまりに弱い!でもそれでいい!)
ものとの付き合い方 (9)
- おまけを使わなくてもいい
- いただき物を使わなくてもいい
- 食べきらなくてもいい
- 詰め替えしなくてもいい
- 水筒やエコバッグを使わなくてもいい
- 再利用しなくてもいい
- フリマやオークションをがんばらない
- 捨ててもいい
- 捨てなくてもいい
ゴミは分別し、袋は断り、回収に出せるものは出している。もともと無駄を嫌う方だ。だからこそ「もったいない」の呪縛から自分を解放したい。捨てたって、使い切らなくって、いいんだよ。
家族 (6)
- 帰省しなくてもいい
- 親戚に気を遣わなくてもいい
- 行事をがんばらない
- 縁起を担がなくてもいい
- 遺品は使わなくてもいい
- 身内を悪く言わない
家族や親族は他の何にも代えがたい大切な存在。だからこそ、力を抜いて今後も良好な関係を保ちたい。一人でがんばらず、しないことを増やしていこう。
ファッション (7)
- すてきな人を目指さない
- 流行を追わない
- いつもおしゃれでいなくてもいい
- メイクをしなくてもいい(手を抜いてもいい)
- ハイヒールは履かない
- ストッキングは履かなくてもいい
- コンタクトレンズはしなくてもいい
ファッションやメイクは自分がハッピーに過ごすためのもの。社会に押し付けられた役割や「女らしさ」のために面倒な思いをするのはもう辛抱できない。コロナの影響で社会の流れも自分の考えと近い方向に変わりつつあるように感じる。
もちろんTPOや敬意は大切だと思うが、なるべく力を抜いてリラックスできる姿でいたい。
人との距離 (10)
- 人付き合いをがんばらない
- 誘いは断ってもいい
- 年賀状は出さない
- 忘年会には行かない
- 二次会には行かない
- 電話には出なくてもいい
- SNSのリアクションをまめにしない
- ブログの更新をまめにしない
- メッセージの返信はしなくてもいい
- 誕生日のメッセージは忘れてもいい
どうも私は人にサービスしすぎてしまうところがあり、気をつけないといけない。人が楽しんでくれるのは喜びだが、自分が疲れるまで付き合ってるとしたら本末転倒だ。自分の心地よさと生活がいちばん大切。
人との関係性 (15)
- 人の面倒を見ない
- 安請け合いをしない
- 頼まれごとをがんばらない
- 人にペースを合わせない
- 人に期待しない
- 人に干渉しない
- 人に自分の「正しさ」を押しつけない
- 人のプライベートを詮索しない
- ネガティブな人とは付き合わない
- 人とべったり付き合わない
- 悪口は言わない(付き合わない)
- 悪い言葉は使わない
- 見栄を張らない
- 話を盛らない
- 愛想笑いをしない
「努力目標」が多くなってしまった。失言や軽率な行動を後から反省することのなんと多いことか…。
「サービスしすぎない」「付き合う人を選ぶ」。当たり前のことだが意識しないと惰性で流されてしまう。交流を躊躇するような関係の人とはそっと距離を置くか、はっきり伝えるか。
わたしを守る (4)
- 言われたことを真に受けない
- 言いたくないことは答えない
- 聞きたくないことは聞かない
- 見たくないものは見ない
「人の話はきちんと聞くものだ」と教わってきたが、伝える側と受け止める側は対等だと思い始めたこの頃。失礼を承知で自分を守っていかないと、延々と相手の時間に付き合わされることになる。SNSやテレビも含め、気分が悪くなるような情報にはなるべく触れないようにしたい。
不安と恐れ (9)
- 人の分まで心配しない
- 人の感情を想像で先取りしない
- コントロールできないことを心配しない
- コントロールできないことを悔やまない
- 準備や確認をしすぎない
- 根拠なく悪い予想につなげない
- イヤな予感がしたらやめる
- 何でも自分のせいにしない
- 嫌われることを恐れない
まったく取り越し苦労が多く、この分野も「努力目標」が多い。おまじないのように繰り返し自分に言い聞かせている。
がんばりと達成 (12)
- 覚えていなくてもいい
- 続かなくてもいい
- やりきれなくてもいい
- 気が散ったらもう続けない
- 完璧を目指さない
- 全力を出さない
- 手を抜いてもいい
- ノルマを決めなくてもいい
- ノルマを消化しなくてもいい
- 褒められなくてもいい
- 理由がなくてもいい
- 効率が悪くてもいい
そうです、私は完璧主義者。しかし、努力は常に正しいとは限らない。「意識高い系」の人に巻き込まれそうになったら「その手には乗らないぞ」と抵抗する。エネルギーを温存して、私のペースでしたいことをするのだ。
わたしを大切にする (10)
- いつも元気でいなくてもいい
- いつもポジティブでいなくてもいい
- いつも優しくなくてもいい
- いつも健康でいなくてもいい
- 怒りをがまんしなくてもいい
- 悲しみをがまんしなくてもいい
- 一人で抱え込まない
- 自分のことを後回しにしない
- 自分を卑下しない
- しないことリストにこだわらない
がんばっている自分をそっといたわる。何物にも代えがたい、価値のある「わたし」を大切にする。
もっと柔軟に、力を抜いていこう!
気が付いたら100を超えていた!
リストを作ること自体にセラピー効果があるようで、頭がすっきりして気持ちが楽になった。書き方は自由だ。私のリストを例として、まずは軽い気持ちで作ってみてほしい。
もちろん、面倒でも人としてやらないといけないことはある。PCのウイルス対策や毎年の健康診断、待ち合わせの時間や締切を守るなど、しないと自分が困ったり、人に迷惑をかけたりすることはあるだろう。
それ以外であれば、さぼれることはさぼってしまおう。きっと今やらなくても大したことは起こらないことを確認できるだろう。
「しないこと」を決めて発見したのはこんなことだ。
- 自分の頭は思っているよりずっと固い
- 「こうあるべきだ」という決めつけ、根拠のないルールが多い
- 「努力が足らない」「能力が低い」「女性らしさが足らない」といったコンプレックス
- 人からどう見られるかを気にして意にそぐわない行動をしていた
- 多くのことに付き合わされ、押し付けられ、貴重な時間とエネルギーを吸い取られていた
書き出していて途中で気がついたが、うつのときにしようとしてもできなかったのもこんなことだった。
「しないこと」を増やしたら、これからどうなっていくか。きっとこんな変化があるだろう。
- 体力と気持ちに余裕ができて人に優しくできるようになる
- 家族や親しい人と過ごす時間が増える
- 何かに追われている感覚がなくなる
- 体調がよく、頭がすっきりする
そしていちばんの変化は、
- 自由を手に入れて、心が躍ること、心の底からやりたいことを思う存分できるようになる
そのためには「したくない」と上手に、アサーティブに相手に伝える必要がある。これについてはまた別の機会に考えてみたい。
おまけ:おすすめ商品
「しないこと」「やらないこと」に関する情報を探していて、いちばん気持ちにフィットして読みたくなったのはこの本だ。
何かをするときは、「それが何の役に立つか」を考えるよりも、そのこと自体を楽しむのが健全だ。
pha「しないことリスト」
オフィスに通勤していた頃は大音量でベルが鳴る目覚まし時計を使っていた。
在宅で仕事するようになった今、緩やかに目覚めればいい朝にはこの目覚まし時計を使う。小ぶりサイズの愛らしいデザインが気に入っている。アラームの他に、2種類の小鳥のさえずりを選ぶことができる。音が電子的なのが惜しいが、聞いていると心地よく、つい二度寝してしまう。
◆選べる3つのアラーム音
①バードA(カッコウ・ルリビタキ・コマドリ)
②バードB(サンコウチョウ・オオルリ・アオジ)
③電子音◆上田秀雄氏(ネイチャーサウンド)音源使用
Amazon 商品紹介
日本に生息する野鳥・小動物・虫などの鳴き声や自然の風景音をデジタル録音でリアルに再現する第一人者。その作品は(公財)日本野鳥の会にも採用されています。
これからは「したいこと」を存分に楽しんで、心地よく過ごしていこう。激動の2020年、人々のこだわりや謎のルールは急速に姿を変えつつある。「わたし」を解放して思い切り舵を切り、想いをたくましく実現していこう。